逆カルチャーショック・留学経験を日本で活かす!
Issue 297
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ May 7th, 2009
Issue 297
CFN|PRESS
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■■■■■■■■■■◇◆今週の CFN|PRESS◇◆■■■■■■■■■■

逆カルチャーショック・留学経験を日本で活かす!

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アメリカでの大学生活が終わりこの1-2ヶ月の間に日本へ完全帰国
する方も、夏休みで一時帰国する方も多くいらっしゃると思います。
今週は、そんな帰国にまつわる話題を取り上げてみたいと思います。
皆さんは『逆カルチャーショック』を味わったことがありますか?

『逆カルチャーショック』とは、海外に長期間滞在した人が日本に帰国して
再び味わうカルチャーショックのことです。長い海外生活の中でその国の
価値観に慣れてしまって、故郷である日本の価値観に違和感を感じてしまう
ことがあります。留学を決めた時と違って慣れ親しんでいる環境に戻るだけ
だから、特にカルチャーショックなんて・・・と思いがちですが、日本に
帰ってからの適応が意外と大変なのです。留学経験で培った能力の一つ、
『適応能力』はここでも試されることになります。

海外に出た時に受けたカルチャーショックは、経験したことのない新しい
生活習慣や考えたこともなかった価値観を目の前にして起こるものです。
好奇心が手伝うこともあって、どちらかというと『へーぇ、こんな事を
するんだ!』『そういう考え方もできるな』といったポジティブな姿勢で
カルチャーショックを克服していこうとしますが、それに対して
『逆カルチャーショック』は、既に知っているはずの環境で
『思ってもみなかった現象』を目の当たりにして起こるものなので、
ショックや戸惑いも大きくなる場合があります。心理的な反応も
『へぇ、そうなんだ』ではなく、『え?!・・・ああ、そうか』であったり、
『しまった!ここは日本だった!』であったりするでしょう。
留学したての頃味わったような戸惑いやぎこちなさを帰国した時にも感じて、
自分の中の価値観や視野の変化に気づくと思います。

留学生が日本に帰って味わう驚きや違和感の中で、最も多いものをいくつか
ピックアップしてみました。皆さんはどんなことを感じているのでしょうか。

■上下関係は厳しい・・・

1歳でも年上だったら先輩には敬語を使わなくてはいけないんですよね。
英語ならもちろん敬語はないし、同級生に年上も年下もいたから、日本人の
友達同士でも敬語なんて使わなかったんです。でも日本では通用しないん
ですよね。それと、社会人になると社歴が長い人が『先輩』。自分より
年下の人でも1日でも入社が早かったらあちらが先輩になるんです。年上で
あってもファーストネームで呼び合える”タメ口”でOKなアメリカとは
違いますね。(ルイジアナ州・Tさん)

■ファーストネームしか知らない?!

アメリカにいると、ファーストネームで呼び合うのに慣れてしまって、
日本人の友達でもあえて苗字を聞かなかったりしませんか?夏休みに
一時帰国する時に日本での連絡先を交換したのはいいけれど、電話を
受けた母が『田中さんからお電話よ』と言われてとても戸惑いました。
『そういえば○○ちゃんの苗字って田中だったんだ。』
(ノースダコタ州・Hさん)

■漢字で再発見、友人の名前

苗字を知らなかったというのに似ていますが、海外で暮らしていると
漢字を見る機会が減りますよね。特に友人の名前を漢字で見ることなんて
ほとんどありません。ある日、漢字で書かれた友人の名前を見て
『え、XX君ってこういう字書くんだ!』とまじまじと眺めてしまいました。
(ワシントン州・Nさん)

■ニホンゴ ムズカシイデス~

留学していたというと『じゃあ、英語ペラペラなんだ』とか、『やっぱり
海外に住んでいる人は違うね』なんて言われるのが嫌なので、なるべく
英語が出てこないように注意しています。でも最近、かなり日本でも英語が
日常的に使われていると思いませんか?それも昔から使っているような
『ミーティング』とか簡単なものではなく、『コンピテンシー』
『サプライチェーン』『トラッキング』などなど。なんだ、通じるんだと
思って『それtake careしておいて』『すごいconfuseするんだよね』
『5000円eachね』なんて使ったら、きょとんとした友人の顔が。下手に
英語を使うと分かってもらえないし、日本語にして話すと『そんなコト
言わないよ~』と笑われるし、どこまで英語を使っていいものか
分かりません。(アイダホ州・Mさん)

■タバコの臭いが、煙が・・・

日本のレストランやカフェに入ると、タバコが吸える所が意外と多い
ですよね。禁煙席・喫煙席に分かれているところはまだ良いほうで、
大概の飲食店では灰皿が置いてあるのでビックリしました。
食事をしている最中に友人がタバコを吸いはじめた時に『外に行って
吸わなくちゃダメだよ!』と咄嗟に言ってしまいました。
未だに慣れません。(ニューヨーク州・Yさん)

■ああ、現金がない!

アメリカに住んでいると現金を沢山持ち歩く習慣がないので、いつも
チェックやクレジットカードを持っていますが、日本では当然チェックは
使いませんし、クレジットカードが使えないお店が以外に多くて困って
しまいます。出先で現金がなくなって、慌ててATMに駆け込んだことも。
場所によってはアメリカのバンクカードが使えないところもあったりで、
本当に面倒です。(イリノイ州・Aさん)

■ガリバーの気分?!

日本に帰るたびに、自分が大きくなったのかな?と錯覚することが
よくあります。『駅前の道はこんなに道幅狭かったかな?』と思ったり、
家の中でも『こんなに洗面台、低かったっけ?』と思ったり・・・。
マクドナルドでMサイズのドリンクを頼んでも、アメリカのスモールサイズ
くらいしかないし、電車に乗るとつり革の位置が妙に低く感じたり、本当に
自分が大男になった気分です。(テキサス州・Rさん)

■■逆カルチャーショックを乗り越えて■■

日本に帰って『あれ?』と思うことが多ければ多いほど、アメリカに
戻りたくなる衝動に駆られたり、日本の社会にフラストレーションを
感じたりすることもあるでしょう。長らく会っていない友人に『なんだか
変わったね』と言われたり、職場で『自己主張が強い、物をはっきりと
言いすぎる』と注意されたりすることもあるかもしれません。

せっかく留学経験を通して新しい価値観や習慣、生活様式を身に付け、
視野を広げてきたのに、まるで『留学経験がなかったかのように日本人
らしく、日本の生活にフィットしなさい』と言われているような気持ちに
なることもあると思います。しかし、逆カルチャーショックは、留学を
通して成長した自分を再確認する瞬間であり、成長したことで得たもの・
失ったものを実感する瞬間でもありますので、必ずしも悪いものでは
ありません。

帰国直後は、自分と周りとの『ズレ』をきちんと認識して、留学経験を基に
確立した自分のスタイルと日本の価値観や生活様式のすり合わせを行いながら、
上手くブレンドしていくことが大切です。外国の『見習うべきところ』と
日本の『良いところ』を上手に組み合わせて、どうしたら日本でも通用する
価値観となるのか、どう周囲に影響を与えていけるのかを常に考えていける
人こそ、カルチャーショックも逆カルチャーショックもきちんと
受け止められた人だと思います。


■■留学経験をどう活かすか■■

昔、留学といえば、ほんの一握りの選びぬかれた優秀な人達にしか
与えられなかった特権でした。海外で進んだ異文化を体験し日本に持ち帰る
使者として選ばれ、帰国した彼らは、その体験を日本の社会のために生かそう
とする意識が非常に高かったといえます。そういう時代に留学を経験した
遠藤周作は、『留学』という著書の中でこう記しています。

『僕ら留学生は長い世紀にわたるヨーロッパの大河の中に立たされて
しまうんだ。僕は多くの日本人留学生のように、河の一部をこそ泥の
ように盗んでそれを模倣する建築家にはなりたくなかっただけなんです。
河そのものの本質と、日本人の自分とを対決させなければ、この国に来た
意味がなくなってしまうと思ったんだ。』

留学経験を活かすというのは、必ずしも海外での価値観や習慣をそのまま
日本に持ち込めばいいということではないはずです。留学は、もちろん
自分自身の視野を広げるために行うものですが、ただ経験したというだけで
終わらせないためにも、自分が経験したことを反芻してきちんと消化する
ことが重要です。

海外に出たときにはその土地の感覚を持って英語で議論し、相手を説得でき、
日本に戻ったら純日本式なビジネスにも適応できるバランスを持って初めて
国際人と呼べると思います。『バイリンガル』『国際感覚』など、海外経験者
を表現する聞こえの良い言葉はありますが、どちらも中途半端なハーフ&
ハーフになってしまっている人を多く見かけます。皆さんも真の意味での
バイリンガル・バイカルチャルになっているか、振り返ってみてください。

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